Composer Kento Ishikawa
メルティングポットを超えて II
Beyond the Melting Pot II for Orchestra
・初演 2022/11/22 NHK-FM「日本音楽コンクール本選会」にて放送初演
(2022/11/9 NHK509スタジオにて収録)。
板倉康明指揮 東京フィルハーモニー交響楽団による演奏。演奏時間 約18分。
第91回日本音楽コンクール作曲部門 第1位,明治安田賞,三善賞受賞作品(2022)
<編成>
2Fl.(1.doub.:A.Fl., 2.doub.:Picc.)/2 Ob./1 Cl./1BsCl./2Bsn.,
4Ht./2 Trp./2Trb./1Tub./
Timp.
3 Percussion
- 1 :Tuned Wine Glass, Crotale, Ratchet, Metal Pipe, Duck Toy, Thunder Hose,
2Toms and Snare Drum, Vibra slap
- 2 :Tuned Wine Glass, Gong, Vibraphone, Sizzle Cymbal, Plexiglas, Small Shaker, Tam-tam ,
2 Wind Chimes, Slide whistle, Toy bell, Bass Drum
- 3 :Tuned Wine Glass, Rain stick, Glockenspiel, Tam-tam, Bongo and Conga, SizzleCymbal,
Mokusho(High),Marimba, 4 Wood blocks+ 1 Temple block, Melodica
Hp. Pf.
12-10-8-6-4
<プログラムノート>
“メルティングポット”とはアメリカの社会的文脈における「人種のるつぼ」を意味し、多様な民族・人種における多様な文化がアメリカ社会で溶け合いながら、新しい文化を形成していくスローガンであり、この作品は文化・出自の異なる楽器で編成されたオーケストラをひとつのメルティングポットに見立て、グラスハープの高音域の持続音から始まります。
冒頭このグラスハープの持続音を軸として、様々な楽器がこれを”真似”て・あるいは真似ようとした不完全な形で登場します。この音を完ぺきに”真似”しようとしても、例えばピアノは発音機構上、音を持続できないためどうしても打音1音に、トロンボーンは中低音域の楽器のため低い音域で演奏せざるを得ない、など構造上の制約から、同じことを演奏しようとして図らずも差異が生まれてしまいます。
この差異を人種の違いや文化の違いに見立て、差異と楽器固有のオリジナリティ・特徴(e.g. ピアノは複数の音を演奏することができる、トロンボーンの弱音器による音色の変化)を組み合わせながらそれぞれの楽器は独自の立ち位置を占めてゆき、”文化や考えかたの異なる他者を知覚する”というコミュニティ形成の根源的なプロセスや共存の在り方をこの音楽の前半に投影しました。
後半ではそれらが協力しあって、同じリズムを吹く/たたく/こする/はじく…さまざまな奏法で関係性を構築して、”溶け合いながら、新しい文化を生み出す”という”融和論”と表裏一体のマイノリティへの差別・暴力といった問題への私なりの考えもこの音楽に反映しました。