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雪の日に ソプラノと弦楽四重奏のための

On snowy day... for Soprano and Strings Quartet(2021)

 ・初演 2022/4/24 うたをみる展 演奏会(羽田空港)にて初演。

<作品解説>

こころの葛藤を降り積もる雪に投影した吉野弘氏独特の表現を活かし、詩の中に出てくることばの断片を、降り続ける雪の情景と呼応するようになんども繰り返しながら、ことばが時間の経過とともにふりつもってゆくイメージで制作した、彫金作家増月りく氏とのコラボレーション作品。

雪の日に     吉野弘

 

――誠実でありたい。

そんなねがいを

どこから手にいれた。

 

それは すでに

欺くことでしかないのに。

 

それが突然わかってしまった雪の

かなしみの上に 新しい雪が ひたひたと

かさなっている。

 

雪は 一度 世界を包んでしまうと

そのあと 限りなく降りつづけねばならない。

純白をあとからあとからかさねてゆかないと

雪のよごれをかくすことが出来ないのだ。

 

誠実が 誠実を

どうしたら欺かないでいることが出来るか

それが もはや

誠実の手には負えなくなってしまったかのように

雪は今日も降っている。

 

雪の上に雪が

その上から雪が

たとえようのない重さで

ひたひたと かさねられてゆく。

かさなってゆく。

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