Composer Kento Ishikawa
アディクティヴ・サーキット
Addictive Circuit for Orchestra (2024)
NHK-FM「現代の音楽」委嘱作品
・初演 2025/3/9 NHK-FM「現代の音楽」にて放送初演(NHK509スタジオにて収録)。
板倉康明 指揮 東京フィルハーモニー交響楽団による演奏。
<編成>
3-2-3-2, 4-3-3-1, 4Perc.,Pf,Hp, 14-12-10-8-6
<プログラムノート>
精神科医であり依存症医学の第⼀⼈者であるアンナ・レンブケ⽒は、著書『ドーパミン中毒』の中で、スマートフォンやSNSの使⽤に起因するドーパミンの過剰分泌によって起こる中毒症状を「シーソーの関係」になぞらえて説明しています。
—スマホ・ゲームなどの短期的で⼤量のドーパミン分泌を促す「快楽」⾏動によって、脳はより刺激的な「快楽」を求めるようになる。やがて刺激に順応してドーパミンが分泌されなくなると、その反動として耐え難い「苦痛」が襲いかかる。それから逃れるように再び「快楽」に⼿を伸ばすことで、悪循環が⽣まれる。—
本作品「アディクティブ・サーキット」の中では、冒頭の約4分間で依存症回路を⾳楽上でつくることを試み、レンブケ⽒の述べた「シーソーの関係」を⾳楽上で構想しました。
ボサノバのリズムを変形させた冒頭のリズム素材を⽪切りに、偶発的なタイミングで打ち鳴らされる⻑三和⾳、短⾳で鋭く切り込む打楽器、これらのスピード感や単純性、偶発性を持ち合わせた要素はパチンコから多くのヒントを得ました。
また瞬間的に脳を刺激する”効果⾳”的な要素、単純な上昇/下降のグリッサンド、⻑時間聴くことで徐々に記憶に残る要素、微分⾳を含む和⾳などに、⽒が語る「シーソー」の関係や依存の仕組みを読み込んでいます。特に効果⾳的な要素は、ASMR動画やスマホの通知機能によってつい作業を中断してしまった実体験を元に取り込んだものです。